【研究ツール】蛍光の考え方– BD spectrum viewerを使って理解する

『蛍光ってどう考えたらいいの??』という話

一年前に研究を開始し、蛍光タンパクや免疫染色で蛍光での評価をいうことを行うようになった。

最初は正直よくわかっていなかったが、最近になり徐々に分かり始めてきました。

間違っているところもあるかもしれませんが、私(初学者)の理解方法として他の人にも役に立つのではないか、と思います。

参考文献; 『新版 フローサイトメトリー もっと幅広く使いこなせる! マルチカラー解析も、ソーティングも、もう悩まない! (実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ)』

初学者がまず最初に理解しておく必要があること
  • 研究室で使える蛍光色素はなにか?
  • 研究室で使っている検索器について(フローサイトメトリーや蛍光顕微鏡)
  • BD spectrum viewerなどの蛍光の重なりのチェックツール

特に、一番目の【蛍光色素】と二番目の【detectorのスペック】を分けて考える必要があります。

私は研究を始めた4月にEGFPがレポーターとして入っている細胞をFACSで検知することを開始したのですが、先輩の

『EGFPはFITCでdetectしたらいいから』という言葉で意味がわからなくなり、迷走状態にしばらくなりました。

研究室で使える蛍光色素はなにか?

蛍光色素にはさまざまなものがあります。化学化合物やタンパク質でできており、詳細を勉強したい人は、BD社やThermoFisher社を調べれば出てきます。

しかし、初学者はまず

励起波長はどれくらいか

蛍光波長はどれくらいか

を調べましょう。とりあえず、それで十分です。

もし余力があれば、蛍光色素の種類によって、どれくらいのエネルギーを吸収し、放出できるかがさまざまなので、

色素が最大で出すことのできる蛍光強度はどれくらいか

を調べましょう。

もちろん、蛍光強度が大きいほど反応が大きくなりますので、detectするタンパクなどの量が少ない場合は蛍光強度が大きい方が良いです。

ですが、まずは励起波長と蛍光波長の理解を進めましょう。以下では、『色素が最大でで出すことのできる蛍光強度』は考えません。なので縦軸は「色素自体が出せる最大を100」とした時の値であるため、他の色素との比較はできません。

例えば、EGFPの場合

BD Spectrum Viewerより

この場合、点線が候補となりうる励起波長、実線が488nmの波長(点線から一番励起させることができる波長であることを示している)を当てた時の蛍光波長となります。

BD Spectrum Viewerより

この場合、420nmの励起波長を当てると、蛍光強度が低下することがわかります。

そのため、

ポイント

励起波長→蛍光強度(山の高さ)に変化を与える。最適解が存在する。

蛍光波長→基本的には変化しない

となります。

研究室で使っている検索器について(フローサイトメトリーや蛍光顕微鏡)

まずは、自分の使う機械でのレーザー(励起するための光線)の波長、detectできる波長のrangeを確認する。

v

BD FACSの例から抜粋;https://www.bdbiosciences.com/content/dam/bdb/marketing-documents/BD-FACSCelesta-BVR-Laser-Config.pdf より

この場合であれば、blue laser(488nm)で励起し、その蛍光を695/40, 610/20, 575/26…でdetectすると言う意味。最初はここで出てくるPEとかFITCとかに囚われず、detectr angeだけを意識しておく方が良いと思います。

ちなみに、695/40は695を山の中心として、幅が40となるようなdetect rangeという意味。なぜ675-715と記載しないのだろう。。

例えばFACSであれば、laserがblue, red, violet, UV..などとありますが、使う機械がどれくらいのlaserを積んでいるのかは機械によりけりです。また、detectorも機械によりけりなので、それらを確認します。

BD spectrum viewerなどの蛍光の重なりのチェックツール

次に、BD spectrum viewerなどを用いて、『自分が使う蛍光色素』が『どのように機械で励起され』『detectされるのか』を確認します。

これらの『』の中はspectrum viewerを使う前に知っておかないと、viewerの意味をなしません。

BD spectrum viewerを一部改変、追記

私はこの様な順番で設定しています。

色素の数を増やした場合には蛍光の重なり具合がよくわかります。

BD spectrum viewerより

これであれば、488nmのlaserを当てた時、

  • 510/20ではほぼEGFPの蛍光だけを拾うことができる
  • 630/30でPE-Texs Redの蛍光が大部分を占めるが、ほんの少しPE-Cy5の蛍光が入る
  • 682/33ではPE-Cy5の蛍光が多いが、PE-Texs Redの蛍光も結構入る

ということがわかります。しかし、そもそも488nm laserにおけるdetectで630/30, 682/33が採用されているかは別問題です。

次にlaser波長を長波長側に持ってくるとこうなります.
  • 510/20に入る蛍光はなし
  • 630/30でPE-Texs Redの蛍光強くなり、大部分を占める。
  • 682/33ではPE-Cy5の蛍光も強くなるが、PE-Texs Redの蛍光も強くなる。

これを見ると、PE-Texas RedとPE-Cy5を682/33で分離するのは難しそうだな、と言う様に思います。そもそもこんな近い蛍光色素を使うべきではないのかもしれない。(8色くらいのマルチカラー解析をするなら、どこまで許容できるかを考えて設定するのでしょうが、私はしません。)

このようにしてBD spectrum viewerを用いることで、蛍光の特性を理解することができます。今後の研究計画にとても重要なツールだと思います。

まとめ

初学者には難しい蛍光の考え方を現時点での私の理解をお伝えしました。少しでも理解の一助になれば幸いです。

私も去年の4月の自分に教えてあげたい、、

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